どうも、お久しぶりです、ダイチです。
明日仕事なのに、夜更かしして本読んじゃった、もう朝方じゃん。
って経験ありますよね。
ページをめくる手が止まらない、時を忘れ、本の世界に熱中している。
何にも代えがたい、たまらない時間。
気付けばあんなに分厚かった本もラストページ。
こっちの世界に帰ってきたときには、触れるほど確かな体験が残っている。
眠気や疲労を感じないほどの深い充実感と興奮。
フロー状態の読書は、ほとんど神秘的な体験と言えます。
でも、全ての本でそういう読書体験が起こるわけじゃない。
というより、ほとんどの場合は、時を忘れないし、夜更かししてまで読もうと思わない。
悲しいかな、ちゃんと読む手をストップできる。
のめり込むような読書。
忘れられない本。
そういうのを紹介したいなと思って「朝までどくしょ」というコーナーを始めてみます。
その名の通り、「明け方まで、時を忘れさせてくれる本」をただ紹介するだけ。
ここで紹介する本は、実際に僕が時を忘れることができた本に限ります。
興味があれば手に取ってほしいです。
Contents
~不屈の闘志。魂のノンフィクション~ 「エンデュランス号漂流記」
今日は、「エンデュランス号漂流記」というノンフィクションを紹介します。
基本情報
〇タイトル 「エンデュランス号漂流記」
〇作者 アーネスト・シャクルトン
〇翻訳 木村義昌 谷口善也
〇ジャンル ノンフィクション・冒険
〇出版社 中公文庫
〇ページ数 本編196ページ
〇読了時間目安 2~3時間
こんな人にオススメ
・今何らかの逆境にある人
・何かを諦めそうだけど諦めたくない人
・人間の強さ、不屈の闘志を感じたい人
・冒険や探検が好きな人
概要
スコット、アムンゼンらが南極点に到達してから、地球上に残された大冒険は南極大陸の横断のみ。
著者のシャクルトンはエンデュランス号の船長として28人の部下たちとその大冒険へと挑戦します。
しかし、死の氷塊に取り囲まれて船は南極大陸へ着く前に沈没。
彼のミッションは、「隊員たちの生還」に変更されます。
氷、浪、強風、凍傷、飢餓、水不足、クレバス、シャチ、待ち受けるあらゆる艱難辛苦。
その極限状態でさえ、意思と勇気とユーモアを持ち続ける隊員。
彼らの不屈の闘志がもたらした冒険史上最大の奇跡を鮮明に描く魂のノンフィクション。
感想 ネタバレなし
この本は、シャクルトン本人の航海日誌に基づいているので、文章に余計な飾り等が一切ないです。
時間、場所、状況とシャクルトンの心境が淡々と、本当に静かに語られています。
起こっている絶望的な状況とのアンバランスが生じていて、それがかえって怖いです。
流氷の上にテントを張って凍えるように寝ていたら、深夜、テント下の氷に真っ二つのヒビが入って、隊員の一人が飲み込まれてしまった。しかし、間一髪寝袋を片手でつかみ上げた、みたいな…(なんなのその状況w)
印象的なのは、シャクルトン本人や彼から見た隊員たちの心理描写です。
とにかく、闘志を絶やさない、あきらめない雄姿が克明に記述されています。
彼らは、どんな状況に陥っても必ず欠かさない習慣があります。
それは、「一日一回、みんなで温かい飲み物を飲む」ことです。
そこで、折れそうになる心を皆でつなぎ、支え合い、希望を確認します。
次に、知識と長年の知恵をもとに冷静なプランニングをします。
あとは、また冷酷な現実と一人一人が向き合い、長い夜を超える…
その繰り返しです。
この本を読んで思ったのは、人間は心折れない限り、希望を捨てない限り、そして支え合う者がいる限り、そうそう死にはしない、ということ。
そして、それはこの僕らが生きている天国のような(南極に比べると)日本ではなおのことそうだろうと思いました。
意思ある限り、死にはしない。
諦めなければならない状況などない。
本当に、心の底からそう思いました。
ヴィクトール・フランクルの「夜と霧」を読んだ時と同じ感覚でした。
※「夜と霧」はアウシュヴィッツというこの世の地獄を生き抜いた精神科医の記録です。
極限状態で不屈の闘志を発揮した男たちの姿は、それ自体が希望となって皆に勇気を与えるだろうと思います。
人間の持つ「意志の力」「不屈の闘志」から生きる勇気を見出したい人に特におすすめです。
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