どうも。ダイチです。
happiness project では、「絶対ためになるTEDプレゼンシリーズ」として、みんさんにオススメのプレゼンテーション動画を厳選して紹介しています。(TEDとは?)
目的は一つ。
Contents
みんなで「世界を変えるアイデア」を共有すること!
あなたの貴重な時間を無駄にさせないことをここに約束します。
是非お楽しみください。
古典的倫理問題 トロッコ問題
この本を知っている人は多いと思う。
ハーバード大学で絶大な人気を誇ったマイケル・サンデル教授の政治哲学の授業。
それを書籍化したものだ。
NHKで講義の様子も放送されていた。
その中で、一つの古典的倫理問題が提示される。
それが、トロッコ問題だ。

~トロッコ問題~
あなたの職業は、車掌である。
運転中に、ブレーキの故障が判明する。
止まらない電車。
前方の線路上には、5人の作業員たちが必死で作業をしている。
こちらには気付かない。
このままいけば確実に5人は死ぬ。
しかし、電車のハンドルを切ることはできる。
右にハンドルを切れば、異なる線路へ電車を誘導できる。
だが、その線路上にも一人の作業員がいるのだ。
このままいけば、確実に5人が死ぬ。
ハンドルを切れば、一人を殺すことになる。
さて、あなたは、どうするべきだろうか??
さて、この問題はマイケル・サンデルの講義で使われ大変有名になりました。
もちろん正解というものはありません。
あるのは、多数決とそれぞれの価値観だけです。
カントとベンサムの答え
そのまま突っ込む派の代表は、ドイツの大哲学者、イマヌエル・カントです。
彼は、定言的という言葉を使って、ハンドルを切る行為を批判しています。
ざっくり言うと、「それって殺人じゃん、ダメなものはダメ」という考え方。
助かる命の数より、ハンドルを切るという殺人行為の「悪」を重く捉えているわけですね。
一方、ハンドルを切る派の代表は、ジェレミー・ベンサムです。
功利主義の創始者である彼は、最大多数の最大幸福という理論を掲げています。
一人でも多くの人間が幸せになる(救われる)ことが正しいというわけですね。
多数決を取ったら、ベンサムに軍配が上がると思いますね。
僕は、功利主義に賛成なのでハンドルを切ると答えます。
絶対ためになるTEDプレゼン16 What moral decisions should driverless cars make? ~自動運転車はどんな倫理的判断をするべきなのか~
実は最近、この問題が自動運転技術の倫理問題に酷似していると話題になりました。
同じような状況になった時、自動車はどう判断すればよいのでしょうか?
そしてその判断を人々が納得するには何が必要なのでしょうか?
技術面では完成間近な自動運転車。
テスラを筆頭にその進化はとどまりません。(関連記事⇒天才起業家の頭の中と僕らの未来)
しかし今、倫理面の問題が立ちはだかっています。
みなさんも一緒に考えてみませんか??
難しい問題を「難しいけど考えることに価値がある」と言える時代は終わった
もう、僕らは答えを迫られている。
仮でもいい、間違っててもいい。
「合意」や「強制」がないとこれ以上物事が進まない、そこまで来てしまっている。
世論調査や、ウェブ上でのアンケートなど具体的な方法をプレゼンテーターは示した。
もう待ったなしなのだろう。
世界が目まぐるしく変わり、シンギュラリティは近いと言われ、新たなテクノロジーが次々と登場する現代において、「倫理」の問題は後を絶たない。
一つ言えるのは、「考えることに価値がある」などと悠長なことは言っていられなくなったということだ。
悲しい事実をお伝えしよう
実は、私は、このトロッコ問題をとある学校の授業で試みようとしたことがある。
カントだ、ベンサムだ、そういう社会の話ではなくて、「道徳」として、だ。
あなたはハンドルを切るか切らないか、そういうジレンマに対して少ない知識と若々しい価値観をもとに答えを出し、級友らと意見を交えて欲しかった。
私は、その授業にかけていたし、意味を見出してもいた。
学びとはこういうことだ、とさえ思っていた。
しかし、その授業が公開されるという話になった時、お偉い方々からストップがかかった。
「命を軽んずる可能性のある題材であり、不適切だ」という理由からであった。
情けない。
これはまさに、結論の先延ばしだ。
今の学生が当事者なのだ、何事も。
彼らに考えさせないで、物事は進まない。
でもこれが現実だ。
テクノロジーは発達しても、人の頭が固いままではダメだ。
倫理の壁は、時間が解決するものでも、権威が解決するものでもない。
常識を疑うところからはじまる強靭な思考と、若者たちのみずみずしい感性によってしか解決されないと思う今日この頃です。
おわり。

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